「きついけど楽しい」芳野の自然と人に育まれた、若手農家・寺本諒佑さんのまっすぐな想い
熊本市西区の山あいに位置する、自然豊かでのどかな芳野地域。
6月24日、この地でみかん農家として日々奮闘する寺本諒佑(りょうすけ)さんに、地域への想い、芳野えーるとのつながり、そして未来の展望を伺いました。


Q1. 芳野にはいつから住んでいて、どんな暮らしをしていますか?
A. 小さいころからずっと芳野で暮らしています。自然に囲まれた環境が好きで、家の手伝いや農業も当たり前のようにやってきました。学校も山の中にあり、そういう環境が自分には合っていると感じています。都会より、田舎が好きですね。


Q2. 芳野の中で、特に思い入れのある風景や場所はありますか?
A. 家の庭やTERASON FARMの無人販売所から見える今村商店の裏のイチョウの木が好きです。春は桜、秋は紅葉やみかんの収穫。自然が季節を教えてくれる場所です。昔はそこで花見もしていましたが、今は人も少なくなって少し寂しいですね。




Q3. 芳野の特産品の中で、特に大切にしているものはありますか?
A. やっぱり「みかん」です。自分で作っているからこそ、「語りたい」より「おいしいと思ってもらいたい」という気持ちが強いです。その想いで、日々大切に育てています。
寺本さんのみかんは、寺本さんが運営されている無人販売所「TERASON FARM」にて、毎年10月頃から購入することができます。今年は、6月8日をもって一旦休店となっていますが、8月には旬を迎えた「寺田農園さんの美味しい梨」が登場する予定です。また、TERASON FARMの無人販売所は、10月1日頃(早ければ9月)に営業再開を予定されているとのことです。8月、梨が美味しい季節になりましたら、ぜひ足を運んでみてください。TERASON FARMは、ここにあります!
Q4. 芳野の人たちの魅力はどんなところにありますか?
A. 一言で言えば「温かくて優しい」。地域行事や日々の仕事の中で、自然と助け合う文化が根づいています。でも、人口が減っているので一人あたりの負担が増えています。「もう無理」と思ってしまうこともあります。だからこそ、芳野えーるのように地域外とのつながりを作ってくれる活動はとても大事だと感じています。




Q5. 芳野えーるの活動の中で、特に印象に残っている取り組みは何ですか?
A. 「楽園化計画」です。今の3・4年生と仲良くなれたきっかけでもあります。最初は大学生に対して「おちゃらけてるんじゃない?」という印象もありましたが、いざイベントになると本当に真剣で驚きました。大変なことも多かったけど、学生のみんなと協力して取り組んだあの時間は、一生忘れたくない思い出です。楽園化計画についてはこちらから!
(寺本さんは芳野えーる実行委員会の青年部の一人として楽園化計画のプロジェクトリーダーでした。)


Q6. 芳野えーるに、今後どんなことを期待しますか?
A. 今でもすごく楽しいイベントをやってくれていると思うので、その姿勢のままで、現状維持を超えるような活動をしていってほしいです。そして、自分にとって「帰りたくなる場所」になっていくような芳野であってほしい。芳野えーるで活動する後輩の皆さんにも、この想いを受け継いでほしいと思っています。


Q7. 今後、芳野で実現したいことや目指していることはありますか?
A. 今はみかん農家ですが、将来的には“うち”を起点にして、芳野に人を呼び込めるような場所を作っていきたいです。たとえば、収穫の手伝いやアルバイトで来てもらったり、農業を通じて交流人口を増やしていく。農業って大変だけど、人に食を届けられる誇りある仕事なんです。「きついけど楽しい」と思える職場を目指して、みんなと一緒に芳野を盛り上げていきたいです。

Q8. 若い世代に対して、どんな想いがありますか?
A. 子どもたちは小・中学生のうちは地域と関わる機会があるけど、高校生以上になると一気に減ってしまいます。田舎の子は「一度外に出てみたい」って思うのが普通。でも、戻ってきたいと思えるかどうかは、“地元の思い出”があるかどうかだと思います。芳野えーるがやっている活動は、その“きっかけ”をつくってくれる。だからすごくありがたいし、活動が続いてほしいと思っています。


Q9. 最後に、芳野の魅力をまだ知らない人に伝えるとしたら?
A. 芳野の良さって、住んでいると当たり前すぎて見えづらい。でも、自然の中をドライブしたり、野出の夕日を眺めたりするだけでも癒される場所です。人が少なくて不便なこともあるけど、助け合いがあって、人のあたたかさがある。都会に疲れた人には、新鮮に感じてもらえるかもしれません。
「来てみないとわからない、それが芳野の魅力です。」
今回のインタビューを通して、地域に根ざして生きることの重みやあたたかさをあらためて感じました。「きついけど楽しい」「来てみないとわからない」という言葉には、日々の努力や人とのつながり、そして芳野への愛情が詰まっていて、とても心に残りました。また、「楽園化」や「夏休みキッズパラダイス」など、芳野えーるの活動が地域の人と大学生の橋渡しになっていることを実感し、自分たちの取り組みの意味も再確認できました。「地元で仕事をつくりたい」という言葉には、地域の未来を本気で考えている姿勢が表れていて、強く感銘を受けました。今回の取材を今後の活動にも活かしていきたいと思います。寺本さん、ありがとうございました。

TERASON FARMで作ったみかんは直売所の他、ネット販売も行っています。詳細はこちらからどうぞ
作成者:3年 赤塚友梨