芳野えーる

山ノ神祭り

年間行事

2月15日に芳野の春日神社で山ノ神祭りが行われた。

例年この時期に行われるこの祭りは、神道における本来の『その年の豊作を願う』という面と、節分のように『鬼を払い福を呼び込む』という2つの側面をもったこの土地特有で地域らしさが詰まった祭りだ。「神楽」を舞った後に「鬼」と書かれた板を、弓矢で打ち抜き、鬼を退治するという儀式だ。

今回私たちはこの「山ノ神祭り」の取材を行った。
私達が取材に春日神社に着いた時には多くの方々が祭りの準備をしていた。
地域の方々に早速お話を聴くことになった。お話を聴いていくと500年以上続くこの祭りを無事に成功させたいという意思や、この土地に住んできた人々が後世に残していくための努力、伝統を守り続けるという強い意志を垣間見えること出来た。

祭りの際使用される的の準備をする地域住民の姿

話を聴いていると芳野の区長さんをはじめとした多くの住民達が春日神社へと集まって来た。
その人たちからも話を聴くことが出来た。どの方々も口々にこの祭りについて熱く語って頂き、芳野の人たちの山ノ神祭りに対する思いと共に人と人の繋がりの深さを感じた。

そしてついにお祭りが始まった。最初は神楽の舞を間近で取材することが出来た。舞は力強い太鼓とお囃子に合わせ踊られた。装束の裾がふわりと舞い、床を踏み鳴らす音が広がる。
神秘的で幻想的、浮世離れしたそんな神楽の舞だった。この舞には歴史の重さを深く感じるものであった。


その後もお祭りは順調に進み、この行事の一大イベントと言える鬼と書かれた的に向かって矢を射る祭事が始まった。地域の方々が思い思いに竹の手作りの弓と矢で放った。重々しく荘厳なものではなく、和気あいあいとしたものだった。地域のみんな笑顔でとても楽しい雰囲気だった。芳野の人々の普段の営みが色濃く出ていて、見ていた私達も懐かしい気持ちになった。

的に向かって弓を射る様子

この行事の取材を通して芳野の歴史・人々の想いに触れることが出来た。これからもこの行事が末永く伝承されていくことを切に願う。

文章:淳之介・朱・莉沙子